佐保神の 別れかなしも 来ん春に ふたたび逢はん
われならなくに
正岡子規
(さほがみの わかれかなしも こんはるに ふたたび
あわん われならなくに)
意味・・今年の春との別れは悲しいことだ。また巡って
くるであろう来年の春に、再び逢える身では無
いものを。
重い病で、自分の限られた生命を見つめて詠ん
でいます。
注・・佐保神=佐保姫とも言い春の女神。春との別れ
を「佐保神の別れ」と言ったのは、ただ春と
いうよりも、春らしいほのかな感じとともに
優しい女神との別れの感を伴って、いっそう
の悲しい思いに誘われる。
ならなくに=・・・でないのだから。
作者・・正岡子規=まさおかしき。1867~1902。35歳。
東大国文科中退。結核で喀血に苦しみ、脊髄
カリエスの腰痛で歩行困難になり苦しみ、長年
病床に臥す。
出典・・歌集「竹の里歌」。