天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に
出でし月かも
安部仲麻呂
(あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさの
やまに いでしつきかも)
意味・・大空を遠く見晴らすと、あれは故国の春日に
ある三笠の山に上った月と同じ月なのだなぁ。
遣唐使として派遣され仲麻呂が、帰国する時
に月を見て詠んだ歌です。
月を見やる視線は、奈良の都で過ごした過去
への視線です。
注・・春日=現在の奈良公園から春日神社のあたり。
三笠の山=春日神社の後方にある山。
作者・・安倍仲麻呂=あべのなかまろ。698~770。
遣唐使として渡唐。帰国出来ないまま唐土で
没。
出典・・古今和歌集・406、百人一首・7。