色も香も おなじ昔に さくらめど 年ふる人ぞ
あらたまりける
紀友則
(いろもかも おなじむかしに さくらめど としふるひとぞ
あらたまりける)
意味・・色も香りも昔と同じように咲いているのだろうが、
年を経てここにやって来た我々の方は、姿がこの
ように変っている。
梅の下で年を取ったことを嘆いて詠んだ歌です。
中国の詩句 「年々歳々花は相似たり、歳々年々
人は同じからず」と気持ちは同じです。
注・・らめ=直接に経験していない現在の事実について
推量すること。作者は必ずしも毎年見に来
ているものではない。
年ふる=年を経る。
あらたまり=姿が変ること。ここでは老人らしく
なること。
作者・・紀友則=生没年未詳。904年大内記になる。古今集
の撰者の一人。紀貫之は従兄弟。
出典・・古今和歌集・57