この憂さを 昔語りに なしはてて 花たちばなに
思ひ出でめや
西行
(このうさを むかしがたりに なしはてて はな
たちばなに おもいいでめや)
意味・・この世の憂さはすべて昔語りにしてしまって、
花橘の香に誘われて懐旧の念にひたろうよ。
昔はこんな辛いこともあったことだ、と懐旧し
昔物語にする。
注・・昔語り=昔あったことの話。憂きことも時間
の経過と共に美化される。
作者・・西行=さいぎょう。1118~1190。
出典・・山家集・722。