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冬ごもり 春の大野を 焼く人は 焼き足らねかも 

我が心焼く
                詠み人知らず

(ふゆごもり はるのおおのを やくひとは やきたら

 ねかも わがこころやく)

意味・・春の大野を焼く人は、野を焼くだけでは
    物足りないのか、私の心まで焼いている。

    恋する相手を好きで好きでたまらなくな
    った気持を詠んでいます。

 注・・冬ごもり=「春」の枕詞。
    大野=原野。
    焼く人=焼畑に従事する人。恋する相手に
     たとえたもの。
    心焼く=胸の中に恋の焔(ほのお)をかき
     たてること、のたとえ。

 

出典・・万葉集・1336。