故里と なりにしならの 都にも 色はかはらず
花は咲きにけり
奈良帝
(ふるさとと なりにしならの みやこにも いろは
かわらず はなはさきにけり)
意味・・すでに廃都となった荒涼たる平城京なので、
今では昔の面影がなくなったけれど、花とい
うものは、色は変らずに昔と同じように咲く
ものだ。
嵯峨天皇と不和にになり、退位後に奈良に戻
って住むようになり、昔を偲んで詠んだ歌で
す。
注・・故里=ここでは昔の旧都、平城京。
ならの都=かっての平城京。平安遷都で平城
京が旧都となった。今の奈良市の位置。
作者・・奈良帝=ならのみかど。807頃の平城天皇と
言われている。
出典・・古今和歌集・90。