聞くやいかに 上の空なる 風だにも 松に音する
ならひありとは
宮内卿
(きくやいかに うわのそらなる かぜだにも まつに
おとする ならいありとは)
意味・・あなたはお聞きですか、どうですか。上空を吹
く気まぐれな風ですら、松に訪れて音をたてる
習慣があるという事を。
「寄風恋」(風に寄する恋)・・風に寄せて人を
待つ心を歌った歌です。風でさえ松に音をたて
るのに(待てば訪れるのに)、あなたはいくら待
っても来てくれないのですね、と恋の恨みを詠
んでいます。
注・・上の空=上空の意と、あてにならない、頼みに
ならないの意味を掛ける。
松に音する=「松」と「待つ」、「音」と「訪
ずる」の掛詞。
作者・・宮内卿=くないきょう。生没年未詳。1205年頃
20歳前後で没する。後鳥羽院に出仕。
出典・・新古今・1199。