種まきし その世ながらの 友なれや 苔むす岩も
高砂の松
源政賢
(たねまきし そのよながらの ともなれや こけむす
いわも たかさごのまつ)
意味・・種をまいたその昔からの友であろうか。苔の
むす高く大きな岩と木高い高砂の松は。
岩と松は風光明媚な取り合わせであり、岩と
苔の組み合わせは厳(おごそ)かな気持ちを誘
う。これらの組み合わせは一朝一夕で出来な
いものであり、その詠嘆を詠んでいます。
注・・苔むす=苔生す、苔が生える。
高砂=兵庫県高砂市付近。播磨の国の歌枕。
岩と松の「高し」を掛ける。
作者・・源政賢=みなもとのまさかた。~1487。従二
位権大納言。
出典・・仙洞歌(岩波書店「中世和歌集・室町篇」)