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ひいき目に 見てさえ寒き そぶりかな    

                      一茶

(ひいきめに みてさえさむき そぶりかな)

意味・・どうひいき目に見ても、自分の姿は寒そうで
    みすぼらしい様子をしていることだ。


    一茶の劣等感を詠んでいます。しかしこの劣等

    感には不幸不運に耐えて力強く生きて行こうと

    いう強靭さ、雑草のように踏みつけられ、引き

    抜かれても、なおかつたくましく生きる精神が、

    この句の底に流れています。

 注・・寒きそぶり=たんに寒いというのでなく、
     みすぼらしさの意をふくんでいる。

 

作者・・一茶=いっさ。小林一茶。1763~1827。3歳で

    生母に死別し継母と不和のため、15歳で江戸に

    出て奉公生活に辛酸をなめた。

 

出典・・一茶発句集。