1116



のぼるべき たよりなき身は 木の本に しひを拾ひて
世を渡るかな
                   源頼政

(のぼるべき たよりなきみは きのもとに しひを
 ひろひて よをわたるかな)

意味・・木に登る方策もない我が身は木の下で椎の実を
    拾って暮らしてゆくことだ。(昇進の希望もない
    私は、四位に甘んじて世を過ごすことだ)

    正四位に長く留め置かれた頼政が三位への昇進を
    望んで詠んだ歌です。
    この一首によって昇進がかなえられました。

 注・・のぼる=「登る」と「昇る」を掛けている。
    しひ=「椎」と「四位」を掛けている。

作者・・源頼政=みなもとのよりまさ。1104~1180。非参議
     従三位。1180年平家討伐のため軍を出し敗戦、自
     害する。

出典・・平家物語。