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世の中は 何に譬へん ぬばたまの 墨絵に描ける 

小野の白雪
                 良寛


よのなかは なににたとえん ぬばたまの すみえに

 かける おののしらゆき)

意味・・この世のあり方を何に譬えたら良いだろうか。

    それは、墨だけで野原の白い雪を表現する絵

    のようなものである。黒い色も白い色も、見

    方にによって変わるものだ。

    人間関係で言えば、相手の言うことを良い方

    向に受け取れば良好な関係が保てるというこ

    とです。 

 注・・ぬばたま=「墨」の枕詞。
    小野=野原。

 

作者・・良寛=りょうかん。1758~ 1831。

 

出典・・谷川敏郎著「良寛全歌集・496」。