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あさぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に
降れる白雪      
                  坂上是則
           
(あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしのの
 さとに ふれるしらゆき)

意味・・夜がほのぼのと明け始める頃に見渡すと、夜明け
    の月がほんのりと照っているかのように、吉野の
    里には雪が淡く積っている。

    薄明の時の雪景色を詠んだ歌です。

 注・・あさぼらけ=夜がほのぼのと明ける頃。
    有明の月=夜が明けてもまだ空にある月。

作者・・坂上是則=さかのうえのこれのり。生没年未詳。
    924年従五位下。三十六歌仙の一人。

出典・・古今和歌集・332、百人一首・31。