東京・増上寺 川瀬巴水画
淡雪の ほどろほどろに 降り敷けば 平城の京し
思ほゆるかも
大伴旅人
(あわゆきの ほどろほどろに ふりしけば ならの
みやこし おもおゆるかも)
意味・・淡雪がはらはらと降り積もると、あの奈良の
都が懐かしく思い出されてならない。
大宰府に居た時の作です。大宰府は都に比べ
れば雪が珍しく、それだけに、雪を見るとす
ぐさま都に思いをはせたものです。
注・・ほどろほどろ=はらはらと、まだらに。
平城の京し(ならのみやこし)=奈良の都が。
「し」は強調する語。
作者・・大伴旅人=おおとものたびと。665~731。
太宰帥として九州に下向、その後大納言と
なり帰京。
出典・・万葉集・1639。