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梓弓 おして誓ひを たがへずは 祈る三島の
神も受くらむ
                北条早雲

 

(あずさゆみ おしてちかいを たがえずば いのる
 みしまの かみもうくらん)

 

意味・・神への誓いを何としてでも違えることのない
    ようにしていたなら、お祈り申し上げた三島
    の神も私の願いを聞き届けて下さるだろう。

 

    神との誓約を守ることによって自らの願いを
    叶えてもらうという授受関係があり、守り続
    ける事が難しい誓いだが、何とかしてそれを
    守ったなら自分の願いも叶うに違いない、と
    いう強い気持ちがこめられています。

 

    早雲が祈ったのは、戦いの勝利だったのだろ
    うか、そして、それに続く世俗的な栄光を。

 

 注・・梓弓=「張る」「押す」にかかる枕詞。
    おして=無理に、強引に。
    三島の神=伊豆の三島大社。1180年頼朝が戦
     勝祈願した神社。

 

作者・・北条早雲=ほうじょうそううん。1432~1519。
    駿河国興国寺城主。

 

出典・・笠間書院「室町和歌への招待」。