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みぞれ降り 夜のふけゆけば 有馬山 いで湯の室に 
人の音もせぬ           
                  上田秋成

(みぞれふり よのふけゆけば ありまやま いでゆのむろに
 ひとのともせぬ)

意味・・みぞれが降り、夜が更けてゆくと、有馬山の温泉の浴室
    には人の物音もしない。

    有馬温泉に湯治(とうち)に行った時の作です。
    温泉の蒸気だけが白く立ちのぼって、人気の全く無い
    浴室の静寂な光景を詠んでいます。
    思い切って瞑想できる雰囲気です。

 注・・有馬山=兵庫県神戸市にある山嶺の総称。
    いで湯の室=温泉の浴室。

作者・・上田秋成=うえだあきなり。1734~1809。国学者。
    雨月物語が有名。