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今はよに もとの心の 友もなし 老いて古枝の
秋萩の花
                頓阿法師 

(いまはよに もとのこころの とももなし おいて
 ふるえの あきはぎのはな)

意味・・今はもう昔のままの心の友は一人もいない。
    老いて年を経た古枝には、秋萩の花が今年
    もまた美しく咲いているのに。

    懐旧述懐歌です。

 注・・よに=世に。(下に打ち消しの語を伴って)
     けっして、全然。
    古枝=古い枝、「経る」を掛ける。

作者・・頓阿法師=とんあほうし。1289~1372。俗
    名は二階堂貞宗。当時の和歌四天王。

出典・・頓阿法師集(岩波書店「中世和歌集・室町偏」)。