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とまるべき 宿をば月に あくがれて 明日の道行く 
夜半の旅人
                  京極為兼
            
(とまるべき やどをばつきに あくがれて あすの
みちゆく よわのたびびと)

意味・・泊まるはずの宿を、美しい月に心が誘いだされて、
    明日行くはずの道を歩み始めた、夜更けの旅人よ。


 注・・あくがれて=心がうかうかと落ち着かない。

作者・・京極為兼=きょうごくのためかね。1254~1332。
    伏見院の近臣であったが土佐に流される。鎌倉期
    歌人。「玉葉和歌集」の撰者。

出典・・玉葉和歌集・1142。