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あづま地の 草葉を分けん 人よりも 遅るる袖ぞ
まづは露けき
                  女蔵人参河 

(あずまじの くさばをわけん ひとよりも おくるる
 そでぞ まずはつゆけき)

意味・・東国の道の草葉を分けて行き、露で濡れるで
    あろう人よりも、都に残された私の袖の方が
    先ず涙の露で濡れることだ。

    悲しい離別を詠んでいます。

 注・・あづま地=東路。京の都より東の路、東海道
     など東国の道。
    遅(おく)るる=後るる。後になる、とり残さ
     れる。
    まづは=先ずは。真っ先に。

作者・・女蔵人参河=にょくろうどみかわ。生没年・
     伝未詳。

出典・・拾遺和歌集・323。