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都をば 霞とともに 立ちしかど 秋風ぞ吹く 

白河の関
                能因法師

(みやこおば かすみとともに たちしかど あきかぜぞ
 ふく しらかわのせき)

意味・・都を春霞が立つころに旅立ったが、もう秋風が
    吹いている、この白河の関では。

    白河の関で秋を感じ、春に都を出発したが、もう
    秋になったのか、ずいぶん長い月日の旅をして
    はるばるとやって来たものだ、という感慨を詠ん
    だものです。
    また、「月日に関守なし」というが、時のたつの

    は早いという事も言っています。

 注・・白河の関=福島県白河市付近にあった。

 

作者・・能因法師=のういんほうし。988年生まれ。文章

    生(もんじょうしょう)。26才頃出家。

 

出典・・後拾遺和歌集・517。