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柵越しに 麦食む子馬の はつはつに 相見し子らし
あやに愛しも                
                  東歌

(くえごしに むぎはむこうまの はつはつに あいみし
 こらし あやにかなしも)

意味・・馬屋の柵越に子馬がほんの少し麦を食べる
    ように、ほんのちよっと目と目が会った娘がたま
    らなくかわいいなあ。

 注・・はつはつに=わずかに。
    相見し=互いに会った。対面した。
    子らし=「子」は愛人(女性)を親しんでいう言葉、
    「ら」は親近感をあらわす接続詞、「し」は強調
     する語。
    あやに=たとえようもなく。
    愛しも=かなしも、いとしいなあ。

出典・・万葉集・3537。