0804



あはれ知れ と我をすすむる 夜半なれや 松のあらしも
虫のなく音も       
                    明恵上人

 

(あわれしれ とわれをすすむる よわなれや まつの
 あらしも むしのなくねも)

 

意味・・松に吹く激しい風の音も虫の悲しげな鳴き声も、
    みな哀れを知れと私に勧める夜更けなのだなあ。
    しみじみと哀れを感じるよ。

 

    自分の実力が足りない事を自覚してくやし涙が
    出て来ることも、「哀れ」の感情のひとつです。

 

 注・・あはれ=悲しさ、寂しさ、気の毒だ。
    すすむ=勧む。促す。
 
作者・・明恵上人=みょうえしょうにん。1173~1232。
    華厳密教の始祖。
 
出典・・岩波書店「中世和歌集・鎌倉篇」。