南蛮煙管
道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今さらさらに
何をか思はむ
詠み人知らず
(みちのべの おばながしたの おもいぐさ いま
さらさらに なにをかおもわん)
意味・・道端に茂る尾花の下陰の思い草のように今
さら何をひそかに思いわずらって、うちし
おれたりしようか、そうはしないぞ。
草に寄せて詠んだ恋の歌です。
注・・尾花=すすき。秋の七草のひとつ。
思い草=すすきの根に寄生する南蛮煙管(
なんばんぎせる)。花の姿が首をうなだ
れて物思いにふける姿に似ている。
さらさらに=更々に。いまさら、あらため
てまた。
何をか=「か」は反語。
出典・・万葉集・2270。