狭井河よ 雲立ち渡り 畝傍山 木の葉さやぎぬ
風吹かむとす
伊須気余理比売
(さいがわよ くもたちわたり うねびやま このは
さやぎぬ かぜふかんとす)
意味・・狭井河の方から雨雲が立ち広がり、畝傍山では
木の葉がざわめいている。今にも嵐が吹いて来
ようとしている。
危険が押し寄せているので警戒してあたる事を
促(うなが)した歌です。
神武天皇の死後、皇位継承争いが起こり、継子
(ままこ)が后の皇子を殺そうと計ったので、叙
景に託して危急を知らせた歌です。
注・・狭井河=奈良県桜井市を流れる川。
よ=動作や起点を表す。・・から。
畝傍山=奈良県橿原(かしはら)市にある山。
さやぎぬ=ざわざわと音がしている。
作者・・伊須気余理比売=いすけよりひめ。生没年未詳。
神武天皇の后。
出典・・古事記。