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ほととぎす 嵯峨へは一里 京へ三里 水の清滝
夜の明けやすき
                  与謝野晶子 

(ほととぎす さがへはいちり きょうへさんり みずの
 きよたき よのあけやすき)

意味・・ほととぎすの鳴き声がいつでも聞かれる清滝から、
    心をいやせる竹林のある嵯峨には一里の近さであり
    昔を偲ばせる古都には三里の近さである。
    今、清滝に来て見ると、朝の早い夏は、ほととぎす
    が鳴き、渓流のささやきが聞こえて涼しさが漂(た
    だよ)っている。

 注・・嵯峨=京都市右京区の嵐山から小倉山に沿った社寺
     の立ち並ぶ地域。竹林も多い。
    清滝=京都市右京区嵯峨清滝。清滝から高雄に通じ
     る渓谷は錦雲渓と呼ばれ紅葉の名所。

作者・・与謝野晶子=よさのあきこ。1887~1942。
     堺女学校卒。鉄幹と結婚。「明星」で活躍。

出典・・歌集「みだれ髪」。