我が袖は 名に立つ末の 松山か そらより浪の
越えぬ日はなし
土佐
(わがそでは なにたつすえの まつやまか そらより
なみの こえぬひはなし)
意味・・私の袖は、あの有名な末の松山なのでしょうか。
空から浪の越えない日はない状態で、あなたの
嘘にあざむかれて、涙を袖に落とさない日とて
ありません。
約束の固さにもかかわらず男が裏切ったことを
恨んで詠んだ歌です。
男女の約束を破ったなら、次の歌のように、
浪が越える事の無い末の松山も越えると言われ
ている。
「君をおきて あだし心を わがもてば 末の松山
浪も越えなむ」(古今和歌集・1093)
注・・末の松山=宮城県多賀城市にあるという山。
末の松山を浪が越えないとされている。
そら=「空」と「虚」を掛ける。
作者・・土佐=とさ。生没年未詳。920年頃活躍した
女房(女官のこと)。
出典・・後撰和歌集・683。