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指をもて 遠く辿れば 水いろの ヴォルガの河の
なつかしきかな
                土岐善麿 

(ゆびをもて とおくたどれば みずいろの ヴォルガの
 かわの なつかしきかな)

意味・・地図を広げて広大なロシアを見渡し、指先で水色
    に塗られたヴォルガ河を辿ると、なつかしさいっ
    ぱいである。

    作者はトルストイやツルゲーネフの翻訳をしてい
    る。ヴォルガの流れに目をやり、言い知れぬロシ
    アに対する親しみを込めています。

 注・・ヴォルガの河=ロシアを南に流れてカスピ海にそ
    そぐヨーロッパ第一の大河。全長3690kmにおよぶ。

作者・・土岐善麿=ときよしまろ。1885~1950。早稲田大
    学英文科卒。早稲田大学講師。国語審議会会長。

出典・・歌集「黄昏に」。