をのが身の をのがこころに かなはぬを 思はばものは
思ひしりなん
和泉式部
(おのがみの おのがこころに かなわぬを おもわば
ものは おもいしりなん)
詞書・・たがひにつつむことあるおとこの、たやすく
逢はず、と恨みれけばよめる。
意味・・自分の身が自分の心のとおりにはならない
ということを考えたならば、事情はよく分
かるでしょう。
人目を気にしているのはお互い様と、男の
一方的恨みを封じたもの。同語の繰り返し
が深刻さを避ける働きをしている。
注・・つつむこと=慎むこと。人目を憚ること。
男には妻が、女には夫がいるようなこと。
作者・・和泉式部=いずみしきぶ。生没年未詳。10
09年中宮章子に出仕(官に仕えること)。
出典・・詞花和歌集・310。