朝夕の 餉も誰か すすむべし 我が病みぬれば
かなしき背子よ
杉浦翠子
(あさゆうの かれいもたれか すすむべし わがやみ
ぬれば かなしきせこよ)
意味・・朝夕の食事も、誰が心をこめて作ろうか。作り
はしない。妻である私は病んでいて、あなたの
食事の事さえしてあげられないでいる。可哀そ
うな夫よ。
病む身のわびしさと夫恋いの思いを詠んでいま
す。
注・・餉(かれい)=携行食、食糧。
すすむ=勧む。飲食物を献上する。
背子=妻が夫を女性が恋人を呼ぶ語。
作者・・杉浦翠子=すぎうらすいこ。1891~1960。北
原白秋に師事。夫は画家の杉浦非水。
出典・・歌集「寒紅集」。