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聞かずとも ここを瀬にせん 時鳥 山田の原の
杉のむら立ち           
                                                西行

 

(きかずとも ここをせにせん ほととぎす やまだの
 はらの すぎのむらだち)

 

意味・・たとえ聞けなくても、ここをほととぎすを待つ
    場所としよう。山田の原の杉の群立つここを。

 

    山田の原は伊勢神宮に近い森。この森厳な伊勢
    神宮の森で時鳥の鳴き声を厳粛な気持ちになっ
    て聞きたいと詠んでいます。

 

 注・・瀬にせん=逢う場所にしょう。
    山田の原=三重県伊勢市伊勢神宮の外宮の辺り。
    むら立ち=群立ち。群がって立っている所。

 

作者・・西行=さいぎょう。1118~1190。鳥羽院北面
    武士。23歳で出家。

 

出典・・新古今和歌集・217。