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梅干の ような婆さまも 花咲きし 昔は色も
香もあったげな
                 木端

(うめぼしの ようなばさまも はなさきし むかしは
 いろも かもあったげな)

意味・・梅干のような婆さまが言う事に、「私が娘の時
    にはネ、通る男が皆振り返り、花のような色香
    にひかれてサ、五、六人がいつも後ろについて
    歩いてきたものだヨ」。

    参考です。

     花樹の歌
              唐 岑参(しんじん)

    今年の花は 去年の似(ごと)く好(よ)し
    去年の人は 今年に到って老ゆ
    始めて知る 人老いて花に如(し)かざるを
    惜しむ可(べ)きの落花 
    君帰(はら)うこと莫(な)かれ

    去年の花は今年も見事
    今年 人は一歳とし老いぬ
    されば知る 人は花には及ばずと
    落花を惜しむ 花の色香をとどめたい

    散った花びらを掃かないでおくれ


作者・・木端=伝未詳。

出典・・木村山治郎編「道歌教訓和歌辞典」。