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おなじ地に おなじ木ならび 今日もまた おなじ葉と葉と 
あひ触れて鳴る
                    尾上柴舟 

(おなじちに おなじきならび きょうもまた おなじ
 はとはと あいふれてなる)

意味・・同じ所に、いつもの同じ木が立ちならんで、今日も
    また、同じ葉と葉があいも変わらず触れ合って音を
    立てている。

    自分はこつこつ努力をしているのに、目の前にある
    木の葉がいつも同じように見える様に、あいも変わら
    ず進歩がなく、目に見えた成果があがらない。
    だが、木の葉も春には新緑に萌え、秋には紅葉する。
    半年過ぎ、一年過ぎて振り返って見ると、今の努力
    は少しは成果として見えてくるだろう。
    
    参考です。

    青山、元不動 白雲自ら去来す
 
    せいざん、もとふどう はくうんみずからきょらいす

    青々とした山は不動のものだが、時の流れとともに
    その姿を変え、しみじみとした味わいが増す。
    (白い雲がかかることによって、山のありようは変わる)

 注・・おなじ地に=以下「おなじ」を三つ重ねて、あいも
     変わらないという意を強め、倦怠感を出している。

作者・・尾上柴舟=おのえさいしゅう。1876~1957。東大国
     文科卒。文学博士。

出典・・歌集「永日」。