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むつれつつ 菫のいひぬ 蝶のいひぬ 風はねがはじ
雨に幸あらむ
                  増田まさ子
            
(むつれつつ すみれのいいぬ ちょうのいいぬ かぜは
 ねがわじ あめにさちあらん)

意味・・仲がよさそうに菫が言った。蝶が言った。風はいやだ。
    雨は自分たちを幸せにしてくれるであろう。

    春の楽しさを詠んでいます。
    風は何故嫌なのかというと、風によって花は散るし、
    「蝶」は花から引き離されるので困る。しかし「雨」
    が降ると蝶は花に雨宿りし、ともに仲良くより添っ
    ていられるので幸せというのです。

 注・・むつれつつ=睦れつつ。睦まじく思ってたわむれる。

作者・・増田まさ子=ますだまさこ。1880~1946。
    与謝野晶子と山田登美子との共著「恋衣」がある。

出典・・歌集「みおつくし」。