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                    香椎浜

いざ子ども 香椎の潟に 白妙の 袖さへ濡れて

朝菜摘みてむ
                大伴旅人
            
(いざこども かしいのかたに しろたえの そでさえ
 ぬれて あさなつみてん)

意味・・さあみんな、この香椎の潟で、袖の濡れるのを
    かまわずに、楽しく朝餉の海藻を摘もう。

    大宰帥(だざいのそち)大伴旅人が、香椎の宮を
    参拝し終えて、開放感をこめて部下を誘った歌
    です。

 注・・いざ子ども=「いざ」は誘う意味。「子ども」は
     目下の者ども。
    香椎の潟=博多湾の東岸、名勝地。
    白妙=「袖」の枕詞。
    袖さえ濡れて=開放感を表している句。
    朝菜=朝食の海藻。香椎の宮には朝食前に参拝。

作者・・大伴旅人=おおとものたびと。665~731。大宰帥、
    大納言・従二位。

出典・・万葉集・957。