天網恢恢疎にして漏らさず
みづがきの ひさしき世より ゆふだすき かけし心は
神ぞ知るらむ
源実朝
(みずがきの ひさしきよより ゆうだすき かけし
こころは かみぞしるらん)
意味・・久しい昔から努力して来た私の心は、神様が
必ず御覧になっていることだろう。
注・・みづがきの=瑞垣の。「ひさ(久)しい」の枕
詞。「瑞垣(みづがき)」は神社の垣の美称。
かけし心=何かを行おうとする心、良い事を
しようとする心、願い事をする心、信仰す
る心。
ゆふだすき=木綿で作ったたすきのことだが、
それを掛けるところから、「かく」の枕詞。
天網恢恢疎にして漏らさず=天が張り巡らか
した網は広大で、その目は粗いようだが、
悪事を犯した者を漏らすことなく捕らえる。
また、良い事を一人静かにやっていても、
いつか人に必ず知れ渡る、ということ。
作者・・源実朝=みなもとのさねとも。1192~1219。
28歳。鶴岡八幡宮で甥の公卿に暗殺される。
出典・・金槐和歌集・649。