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かはづ鳴く 神なび川に 影見えて 今か咲くらむ
山吹の花
                 厚見王 

(かわずなく かんなびがわに かげみえて いまか
 さくらん やまぶきのはな)

意味・・かじかの鳴く神なび川に、黄色に照り輝く
    美しい花影を映して、山吹の花は咲いてい
    るだろうか。

    透き通った川の水に写る山吹の美しい景色
    を詠んでいます。

 注・・かはづ=今の河鹿。かえるの一種。谷川に
     すみ美しい声で鳴く。
    神なび川=飛鳥川とも滝田川ともいわれる。
     「神なび」は神が宿る場所として森や川
     にこの名が与えられた。

作者・・厚見王=あつみのおおきみ。生没年未詳。

出典・・万葉集・1435。