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ふるさとの 花のにほひや まさるらん しづ心なく
帰る雁かな
                   藤原長実母
                          
(ふるさとの はなのにおいや まさるらん しずこころ
 なく かえるかりかな)

意味・・故郷の花の美しさの方が、ここの花より勝って
    いるのだろうか。落ち着いた心もなく帰って行
    く雁だなあ。

    花の咲く春に雁が北に帰る、その理由を考えて
    詠んでいます。

 注・・しづ心=静心。静かな心、落ち着いた気持ち。

作者・・藤原長実母=ふじわらのながさねのはは。生没
    年未詳。長実は権中納言で1133年没。

出典・・詞花和歌集・33。