1857


 

行き違ひに なりにしのみと 知るまでに また重ねたる
歳月ありき
                    大西民子

 

(ゆきちがいに なりにしのみと しるまでに また
 かさねたる さいげつありき)

 

意味・・ある時にある人と何かがあって悪意とは言わない
    までも、いい感情を持たなくなってしまった。そ
    れからずっと、よそよそしい状態が続いていたが、
    歳月が経ってから誤解だということが他の事から
    判明した。この長い間の行き違いよ、この失った
    時間はもう戻って来ない。

 

作者・・大西民子=おおにしたみこ。1924~1994。奈良

    女子高等師範学校卒。木俣修に師事。浦和図書館

    に勤務。

 

出典・・歌集「印度の果実」(短歌新聞社「現代秀歌鑑賞」)