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白埴の けふの誓の かはらけの 染みしがかなし
口紅の色
                坂本不二子 

(しらはにの きょうのちかいの かわらけの そみしが
 かなし くちべにのいろ)

意味・・白埴の盃・・愛を誓い合う三々九度の盃に、ぽっ
    ちりと自分がつけた朱の色が染まっているのを見
    ると、たまらないほどに胸がジーンと熱くなって
    来る、ああ、その口紅の色よ。

 注・・白埴=質の細かい白色の粘土。
    かはらけ=土器。素焼きの陶器、素焼きの盃。
    かなし=愛し。いとおしい、身にしみて思う。こ
     こでは、胸がジーンと熱くなって来る状態。

作者・・坂本不二子=1915~2007。徳島短歌を主宰。

出典・・新万葉集・巻四。