盲ひては もののともしく 隣家に 釘打つ音を
をはるまで聞く
明石海人
(めしいては もののともしく となりやに くぎうつ
おとを おわるまできく)
意味・・目が見えなくなってから、些細な事にも心が
ひかれるようになった。今、隣で家の修理が
なされているのだろうか。釘を打つ音を最後
まで聞き入っている。
注・・ともしく=羨しく。めったにない物に心がひ
かれる。
作者・・明石海人=1901~1939。ハンセン病を患い岡
山県の愛生園で療養。手指の欠損、失明、喉
に吸気管を付けた状態で歌集「白描」を出版。
出典・・歌集「白描」。