君をおきて いづち行くらむ われだにも 憂き世の中に
しひてこそふれ
和泉式部
(きみをおきて いずちゆくらん われだにも うきよの
なかに しいてこそふれ)
意味・・宮様をおいて、その人はどこへ行こうとされる
のか。この私でさえ、辛い憂き世を逃れようと
もせず、こうしてじっと耐えておりますのに。
宮様と日頃親しく交際していた女性が遠い地方
に行くことになったので、詠んだ歌です。
注・・しひて=強ひて。無理に。
ふれ=経れ。時がつ、月日を送る。
作者・・和泉式部=いずみしきぶ。年没年未詳、977年頃
の生まれ。朱雀天皇の皇女昌子内親王に仕える。
出典・・和泉式部日記。