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夕されば 君来まさむと 待ちし夜の なごりぞ今も
寝ねかてにする
                  詠み人知らず
              
(ゆうされば きみきまさんと まちしよの なごりぞ
 いまも いねかてにする)

 

意味・・夕方になると以前あなたは必ず来て下さいましたね。
    で、私は夜いつも起きてお待ちしていました。習慣
    って恐ろしいものですね、誰かさんのもとに行って、
    来て下さらなくなった今でも私は、夜目がさえて眠
    ることが出来ないのですよ。
 
    一夫多妻制の世の中で通い婚の時代です。夫が訪れ
    て来ない寂しさを詠んでいます。

 

 注・・なごり=余韻、余情、習慣の残り。
    かてに=・・出来ないで、・・に耐えられないで。
 
出典・・万葉集・2588。