思ひつつ 寝ればか もとな ぬばたまの 一夜もおちず
夢にし見ゆる
新羅に遣わされた使人
(おもいつつ ねればか もとな ぬばたまの ひとよも
おちず ゆめにしみゆる)
意味・・あなたを思いながら寝るせいなのだろか。一夜も
欠けず、いつもあなたが夢に現れるとは。
新羅に遣使人として行ったが、受け入れられず、
長引く遣いに、寂しい思いを詠んでいます。
注・・寝ればか=「か」は問いかける意味を表す。寝る
せいなのか。
もとな=むやみに、しきりに。
ぬばたまの=夜の枕詞。
おちず=もらさず、残らず。
新羅=朝鮮半島の東南部にあった国。新羅と日本
は平穏でなく、使いは受入れられなかった。
出典・・万葉集・3738。