けふもまた 遊びなかまを 放たれて 親もたぬ児は
うなだれかへる
岩谷莫哀
(きょうもまた あそびなかまを はなたれて おや
もたぬこは うなだれかえる)
意味・・今日もまた、遊び仲間の悪童どもに、親なし子供など
とからかわれたり、意地悪をされた。仲間外れにされ、
追い出された無念さ、それを訴えようにも母はいない。
哀しみにうなだれて帰って行く。
作者は9歳の時に母親を亡くしています。その頃の哀
愁を思い浮かべて21才の時に詠んだ歌です。
作者・・岩谷莫哀=いわやばくあい。1888~1927。東大経済
学部卒。尾上柴舟に師事。
出典・・歌集「春の反逆」(東京堂出版「現代短歌鑑賞事典」)