人もなき むなしき家は 草枕 旅にまさりて
苦しかりけり
大伴旅人
(ひともなき むなしきいえは くさまくら たびに
まさりて くるしかりけり)
意味・・こうして今帰り着いてみると、居るべき妻が
いないがらんとした家は、旅にも増して苦し
くやりきれないことだ。今しみじみそれが分
かる。
大伴旅人は太宰帥(そち・長官)として着任早
々妻の大伴郎女(いらつめ)を失った。その後
京に転任となり、懐かしい故郷の奈良に帰っ
て来た時に詠んだ歌です。
奈良に帰って来ても、妻のいない寂寥(せきり
ょう)感はいよいよ深まるのみであった。
作者・・大伴旅人=おおとものたびと。665~731。728
年頃太宰帥、同年妻を失う。730年大納言とな
り上京、翌年没した。
出典・・万葉集・451。