0774



世の人の 及ばぬ物は 富士の嶺の 雲居に高き

思ひなりけり
                                天暦御製

 

(よのひとの およばぬものは ふじのねの くもいに
たかき おもいなりけり)

 

意味・・世間の人の私に及ばないものは、富士山のよう
    に、空高くそびえて燃える私の恋の思いの火で
    ある。

 

           恋の思いでもあり、志でもあります。

 

 注・・雲居=雲のある所、空。
    思ひ=恋の思い、志。「ひ」に「火」を掛ける。

 

作者・・天暦御製=てんりゃくのぎょせい。村上天皇。
     926~967。

 

出典・・拾遺和歌集・891。