0709



歌よみて 罪せられきと 光ある 今の世を見よ
後の千とせに
                     山川登美子

 

(うたよみて つみせられきと ひかりある いまの
 よをみよ のちのちとせに)

 

意味・・歌を詠んで罰せられた事実があったと、今の
    輝かしい世のことを、千年後の人々は思って
    欲しいことだ。

 

    登美子は明治37年に日本女子大学に入学した。
    その時に歌集「恋衣」を出版したが学校は喜ば
    ず、停学処分にした。この歌は、学校の古めか
    しい考え方や自由拘束への抗議で詠まれた歌で
    す。「光ある今の世」は、まだ暗い今の世の中
    を皮肉った言葉です。

 

 注・・光ある今の世=光のない暗い世の中、という
     ことを皮肉った文言。
       恋衣=歌人、山川登美子、増田雅子、与謝野晶子
                  による共著。1904年(明治37年)に出版。

 

 

作者・・山川登美子=やまかわとみこ。1879~1909。
    30歳。大阪梅花女学校卒。日本女子大学に入
    学するが肺結核を患い中退。晶子と共に鉄幹
    との恋愛関係にあった。

 

出典・・歌集「恋衣」。