うら恋し さやかに恋と ならぬまに 別れて遠き
さまざまな人
若山牧水
(うらこいし さやかにこいと ならぬまに わかれて
とおき さまざまなひと)
意味・・好い感じの人だなと出会った時に思った人だか、
お互いの気持ちを確かめあうこともなく、はっ
きりとした恋愛にならないまま、いつしか別れ
た人々。振り返ると懐かしく思い出される。
注・・うら=なんとなくそんな気がする。例「うら寂
しい」「うら悲しい」。
うら恋し=懐かしく思いだされる。恋とはまで
は行かない淡い関係だったが、なんとなく恋
しく思われる。
遠き=実際の距離が遠い、精神的な距離の長さ、
別れてから経過した時間の長さ、を含める。
作者・・若山牧水=わかやまぼくすい。1885~1928。
早稲田大学卒。尾上柴舟に師事。
出典・・俵万智著「あなたと読む恋の歌百首」。