面影に 花の姿を さきだてて 幾重越え来ぬ
峰の白雲
藤原俊成
(おもかげに はなのすがたを さきだてて いくえ
こえきぬ みねのしらくも)
意味・・桜花の姿を目の前に思い描き追い求め、幾つの
山々を越えて来たことだろう。しかしその度に、
花と見紛(まが)う白雲が、むこうの峰にかかる
のを見るばかりだ。
花の姿は、好きな人であり、志でもある。何度
も失意の苦さを味わいながらも、なお、美を追
い求めてやまない、というようにも取れます。
作者・・藤原俊成=ふじわらのとしなり。1114~1204。
正三位・皇太后宮大夫。「千載和歌集」を撰進。
出典・・新勅撰和歌集。