笹の葉は み山もさやに さやげども われは妹思ふ
別れ来ぬれば
柿本人麻呂
(ささのはは みやまもさやに さやげども われは
いもおもう わかれきぬれば)
意味・・笹の葉はみ山全体にさやさやとそよいでいる
けれも、私はただ一筋に妻を思う。別れて来
てしまったので。
現地妻を石見国に残して都に上がるときの旅
の途中の歌です。
笹のそよぐ音と山の清々しを示して山の神々
しさを表し、現地妻を残して別れて来たこと
の恐れ多いさを示しています。
注・・石見=鳥取県の西部。
作者・・柿本人麻呂=生没年未詳。宮廷歌人。
出典・・万葉集・133。