0607



の葉は み山もさやに さやげども われは妹思ふ
別れ来ぬれば
                        柿本人麻呂

 

(ささのはは みやまもさやに さやげども われは
 いもおもう わかれきぬれば)

 

意味・・笹の葉はみ山全体にさやさやとそよいでいる
    けれも、私はただ一筋に妻を思う。別れて来
    てしまったので。

 

    現地妻を石見国に残して都に上がるときの旅
    の途中の歌です。
    笹のそよぐ音と山の清々しを示して山の神々
    しさを表し、現地妻を残して別れて来たこと

    の恐れ多いさを示しています。

 

 注・・石見=鳥取県の西部。

 

作者・・柿本人麻呂=生没年未詳。宮廷歌人。

 

出典・・万葉集・133。