霜凍る 天心にして 澄む月の こころにおきて
今は眠らむ
大田青丘
(しもこおる てんしんにして すむつきの こころに
おきて いまはねむらん)
意味・・寒い冬の夜、見上げれば天心に冷たいまでに
澄みとおる月がある。凛とした高士の心のよ
うである。われわれもあの月のように、凛然
として生きて行きたい。そのような心で、私
は今宵の眠りにつこう。
注・・天心=空の真ん中。
高士=気高く清らかな人。
凛然=引き締まった感じ。
作者・・大田青丘=おおたせいきゅう。1909~1996。
東大中国文学科卒。法政大学教授。文学博士。
出典・・歌集「国歩のなかに」(桜楓社「現代名歌鑑
賞事典」)